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人工透析どこまで?~医療者&患者家族の立場より~

最近、ワイドショー等で取り上げられている 「人工透析」。

いろいろ私も思うところがあります。

現在人工透析専門病院に勤めているということと、

親が腎不全で透析治療を20年ほど行っているという背景があるということを

お伝えしておきます。

人工透析、確かに医療費かかっています。

一人当たり、年間数百万かかっています。

親が50代の若さで、透析導入となった時には、その金額を聞いて

驚いたとともに、その治療費のほとんどを負担しなくても大丈夫だという

仕組みにありがたいなと思いました。

親は透析で生きながらえた分、人並みの生活を継続でき、感謝しています。

私は、人工透析にかかわって3年以上になります。

いろんな患者さんがいます。

透析が必要となる病気は、慢性腎不全です。

その原因は、いろいろあり、


そのほかにも、交通事故等での腎破裂やがんの転移というのもあるでしょう。

うちの親は、妊娠中毒症からIgA腎症を発症しました。

免疫細胞が自分の腎臓を破壊する病気だったと記憶しています。

もともと体が丈夫でない上に、きつい仕事で無理をしていたからでしょう。

慢性腎臓病は、一度腎機能を悪くすると、そのあとはもとに戻らず、

徐々にどんどん悪化していく病気です。

そして、尿素窒素やクレアチニン等のデータがある一定の値に達すると、

尿毒症という症状が出てきて、透析が必要になります。

透析回数は、大体が週3回なのですが、たまに週1回とか週2回の場合があります。
(腎機能により)

20代の方(全国にはもっと若い方もいると思います)。

日中仕事をして、夕方から透析される方。

仕事はしていないけれど、自宅から通っている方。

介護施設から通っていらっしゃる方。

病院に入院しながら透析をしていらっしゃる方。

いろんな身体状態、精神状態の方がいらっしゃいます。

もちろん、普通に元気な方もいらっしゃいますが、

そうでない方もいらっしゃいます。

認知症の方、透析中、自分で針を抜いてしまう方、

「ひどい!もうやめてくれ!」といつも叫ぶ方、

いつもぼうっとしていらっしゃる方。

今日、親とも話をしたのですが、

自分が(精神状態が)訳の分からない状態になったら、

治療はやめてほしいとのこと。

確かに。

今は、その親の希望を冷静に聞いていますが、

いざその時になったら、どうなるかわかりませんが、

それでもそうした方がいいだろうと思っています。

数年前、人工呼吸器の安楽死問題が取りざたされていましたが、

それと似たような医療課題だと思います。

人の命は、地球よりも重たいと言いますが、

それが行き過ぎて、

どこまでも延命に終始するところが、現場ではまだあったりします。

見ていて、患者さんがかわいそうに感じることもあります。

逝きたいのに逝けない・・・

本人は、もちろんですが、家族も、いざという時にどうするか

考えておくことは大事だと思います。

本人も家族も納得していれば、罪悪感や後悔は残らないと思います。

後は、医療サイドが、どこまでその希望に添えるか、ということでしょうか。

人の命について、どうとらえるのかというのも大切なポイントでしょう。

死んだら、すべて終わり、何も残らない、という考えだとしたら、

死は恐怖でしかないかもしれません。

肉体は借り物であり、死んでも、魂は生き続けるという考えを持っているとしたら、

死は通過点でしかなく、新たな世界への旅立ちとして、希望があるかもしれません。

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